クルーズ船の旅

2024年2月 初めてのクルーズ船旅行を体験した。

MSCベリッシマ 那覇発、石垣経由、台湾(基隆)行き

以下、箇条書きにてまとめてみた。

 

〇費用 約34万円(大人2人、中学生1人、小学生2人) 

 ①事前支払分 約25万円

  4名部屋 大人 60,000円×2人 小人 旅行代金無料、港湾税21,000×2人

  1名部屋 大人 92,000円×1人

 ②船内利用分 約7万円(435~500ドル)

  サービスチャージ&ツーリストタックス 64ドル×4人、35ドル×1人(11歳以下?)、船内Wi-Fi 84ドル、飲み物代(ディナー)30ドル×2晩

 ③台湾観光分 約2万円(4000台湾ドル)

  交通費(バス、タクシー)、昼食、お土産代

 

〇良かった点

 ①食事がおいしい

  ベリッシマはイタリア船籍らしく、前評判どおり、食事がおいしい。

  海外旅行にありがちな、マズくて食べられない料理はほとんどない。

  どれもそこそこおいしい。ピザやハンバーガーなどは日本のものより美味しい。

  肉料理は特にレベルが高く、牛豚鶏だけでなく、ターキーなどバリエーションも楽しめる。魚料理がふっくらとして臭みもないのに驚いた。

 ②無料のアクティビティ

  無料で楽しめるアクティビティがたくさんある。

  プール&ジャグジーは、ウォータースライダーもあって、水着で家族で楽しめる。

  ミュージカルショーは意外とレベルが高く楽しかった!

  子ども向けフロアもあって、子どもだけ(11歳以上)で利用することもできるので、大人が疲れて部屋で休んでいる間に子どもたちはゲームをしたり楽しむこともできる。

〇悪かった点

 ①船内Wi-Fi環境が脆弱

  無料Wi-Fiがあると聞いていたが、専用アプリを使用するためだけのもので、通常のインターネットを利用するには有料となる。しかも、有料プランを購入しても、回線がかなり脆弱。YouTubeなど動画サイトは視聴不可。メールやニュースサイトなどはかろうじて使えるレベル。なかでも酷いのが、有料プランを購入したにも関わらず、部屋によっては、内側キャビンだからかつながらない。

 ②精算手続きが複雑

  キャビンカードにクレジット情報を紐づけておくと、船内の飲食・買い物はキャビンカードを提示するだけで済む。夫婦ともにクレジット情報を紐づけて安心していたが、最期の最後の下船手続きで、子どもたちのカードを通すとエラーが発生、よくわからないがレセプションに行けと言われる。どうやら、子どもたちの分もクレジット情報を紐づけておかないと、サービスチャージやツーリストタックスが未清算となってしまうことが原因。知らんがな。。

 ③ディナーは時間厳守

  ビュッフェは使い勝手が良い。朝から夜中まで、ほとんど通し営業で、一部時間帯を除いて、いつ行っても食事や飲み物(水、コーヒーなど)が楽しめる。

  一方、コースディナーは指定のレストランに指定の時間に行かないといけない。初日は20分程度遅れていくと、時間厳守で入れないとのこと。子連れファミリーなど、あえて時間を外していった人たちは軒並み追い返されていた。

 

〇雑感

 下船手続きはかなりスムーズにやってくれる。指定の時間まで待つ必要はあるが、そこからはあまり並ぶこともなく、かなりスムーズに対応してくれる。

 しかしながら、下船後が大変。。タクシーに長蛇の列。特に石垣島はヤバい。島のタクシーの数とクルーズ船のキャパが見合わない。石垣市は対策を講じた方が良い。クルーズ船の寄港時間に合わせて、無料バスを提供するなど。

 台湾(基隆)は近くに鉄道の駅やバス停がある。石垣島は港近くにホントに何もないので、①ツアーに参加する、②ベリッシマが手配したシャトルバスに15ドル?払って乗る、③タクシーの列に並ぶ、を選択することになる。

 我が家は港から繁華街まで歩いたが、2~3キロの道のりを強い日差しの中歩くのがシンドイ。。途中で船に引き返そうか本気で考えた。

老いてはネコに従え/養老孟司、下重暁子

〇死に集中すると生を見失う。

コロナ以降、教育現場でマスクの強制

「とにかく子ども死なせなきゃいいんだ」という考えから抜け出せない。

「死なない」ということが重要で、子どもたちが「どう生きていくか」なんてことが二の次。

死ぬっていうことに集中すると、生きることがわからなくなる。

 

〇国家観

下重さん

私たちの世代は子ども時代、大人たちがいっていたことが嘘だらけだったという現実を嫌というほど見せつけられた。当然、国家というものに対しても非常に懐疑的、疑り深くない。日本が戦争に負けた時、小学校3年生、親も先生も含め、大人のいうことはまったく信用ならないと肌で感じた。そして、「自分一人だけは自分で食べさせて、自分でものをいえるようにならなければダメだ」って心に決めた。

養老さん

国家が「これが正義だ」といってきたら反射的に、「そんなものは嘘に決まっている」と考える。

下重さん

やっぱり私たちは戦争を経験しているというところが大きい。一夜にして世の中の価値観がひっくり返る経験。

 

〇日本は自然災害でしか変われない

2038年頃に東南海地震南海トラフ自身が発生する。東南海地震は首都直下地震を誘発する可能性もあるので、その場合は東京は深刻な事態は免れない。この自然災害がくると、日本はかなりガチャガチャになる。

東京がなくなることで初めて、それぞれの地域が自立しなくてはやっていけない状況が生じる。少ない人口でいかに豊かに生きるかを考えなくてはいけない。

 

〇「意味を求める病」

暇だからこそ余計なことを考えてしまう。

 

〇一生懸命遊ぶために仕事をしている

下重さん

自分一人くらいは食べさせることができる経済力がないと、自由は獲得できない。自分のことは自分で決める自立心がないと、自由は得られない。精神的な自立と経済的な自立さえあれば、何歳になっても自由でいられる。

養老さん

「行きがかりと成り行き」が大きい。人生なんて自分でコントロールできるもんじゃない。その瞬間、瞬間を生きていくしかない。

 

 

何もかも憂鬱な夜に/中村文則

「アメーバとお前を繋ぐ何億年の線」

「現在というのは、どんな過去にも勝る。」

「お前の命というのは、本当は、お前とは別のものだから。」

 

恩師である施設長の言葉、主人公の僕の言葉に感銘を受けた。

自分自身の人生を俯瞰して見る、過去からの大きな流れの中で捉えることで、救われる人がいる。

 

昨今、「親ガチャ」という言葉に象徴されるように、自分の生まれ育った環境に諦観する風潮がある中で、そんな環境に置かれても生きる希望を見出す言葉が心に沁みた。

 

最後に希望で終わってよかった。

中村文則さんの作品は、文体や展開に引き込まれる一方、じめじめとした湿度のまま、陰鬱な雰囲気のまま終わってしまう、読後感がどんよりとする印象があった。

 

最後の山井の手紙、山井にとって主人公の僕は、僕にとっての恩師である施設長のような存在になったのだろう。

正欲/新垣結衣、磯村勇斗

衝撃を受けた。

新垣結衣さん、磯村勇斗さんの「目」の演技に心を奪われた。

死んだ目、なにかを諦めたような表情。

 

社会の多数派ではない価値観を持つ人達だからこそ、人一倍感じるであろう思い。

誰かと思いを共有したい。自分のことを理解してほしい。同じ価値感を持った人とつながりたい。分かり合えるもの同士の絆。

 

この作品は映画と小説ではそれぞれ異なる良さがある。

 

小説を読んで感じたこと。

・「多様性」「個性」「みんな違ってみんないい」、と良識派のつもりでいた自分に、「それはあなたが理解できる範疇だよね」と突き付けられた。

・「自分の常識や価値観では到底考えが及ばないことが世の中にはある」、その前提で他者と接しないと、無意識に傷つけてしまうことがあるんだと自省させられた。

・映画を見た直後は、マイノリティ側の分かり合えるもの同士の絆に単純に感動していた。その後小説を読んで、この話で問われているのは自分自身を含めた「多数派」「まともな側の人間」の方だと気づかされた。

 

振り返って、最後のシーンは映画も小説もものすごく良い!ガッキーのあの目。

「いなくならないから」

アナログ/二宮和也 波留

タイトルの「アナログ」に作り手の想いが集約されている。

 

1人1台のスマホが当たり前でラインやSNSで他者と簡単につながることができるこの時代に、「毎週木曜日に、同じ場所で会う」約束を交わす。

 

連絡を簡単に取ることができないため、お互いに行き違いや思い違いも生ずる。

「会えない時間が愛育てるのさ」よろしく哀愁。まさにそんな感じだろう。

もちろん、直接会って、言葉を交わして、お互いの思い入れのある場所を訪ねる、などの「二人の時間」は素晴らしいものであろう。

しかしながら、それ以上に「会えない時間に互いに相手に思いを馳せる」、その時間こそ甘美なものではないだろうか。

 

脱線するが、ライン等のリアルタイムのコミュニケーションツールが発達した現代、良くも悪くも、相手のことを想像(妄想?)する余地が少なくなってしまった。

恋は盲目。人は相手の見えない部分を自分の都合の良いように想像(妄想?)するものである。そういった余白がないと、今風に言うと「蛙化現象」みたいなことが起きやすいのではないか。

時間をかけて相手のことを理解していく過程で、自分の想像(妄想?)と多少違っていても、それも面白い、もしくはそれもアリか、と受け容れることができる。

 

悟がみゆきの想いを知ることになるツールが日記である描写はたまらない。号泣。

最後のシーンである、悟の覚悟、みゆきへの想いが本物であることを示す場面では、悟は「オンライン会議システムによる在宅ワーク」を活用しており「アナログ」ではないツールがカギとなっていることも興味深い。

 

迫力のあるCGや複雑な伏線回収などの派手な演出は全くなく、演者の会話シーンを主として展開されていく昔ながらのアナログな映画で秀作でした。

誰も戦争を教えられない/古市憲寿

「戦争を知らずに、平和な場所で生きてきた。そのことをまず、気負わずに肯定してあげればいい。」

この部分だけを切り取ると、腑に落ちないかもしれない。

『きちんと過去の戦争に向き合わないといけない、世界各地で勃発している紛争当事者に思いを馳せて、、』と感じる人もいるだろう。

しかし、きちんと全編を通して読むことで、筆者の主張なり思いが伝わってくる。

 

高橋源一郎さんの「ぼくたちの戦争なんだぜ」を読んで、この本にたどり着いた。

・絶対に守らなければならない、いつもの生き方が詰まった日常

・いつも持っている感覚、自分の中で生まれ育った感覚、それ以上に強く自分をささえてくれるものないのである。

 

恐らく、古市さんも同じようなことを伝えたいのだと感じたが、古市さんは伝え方が巧い。作中、trfやSEKAI NO OWARIの曲の歌詞を引用しているのだが、それがスッと心に入ってくる。引用して記載するタイミングが秀逸である。

 

古市さんの本は、意図的であると考えるが、きちんと全編を通して読まないとわからないように書かれている。タイトルや帯には、あえて煽るような記述が含まれていたりする。SNS等では、部分部分を切り取って批判的なコメントも見受けられる。

読書の醍醐味というか、きちんと本と向き合う姿勢が試されるというか、そういった意味でも考えさせれる著書である。

 

追記:戦争の「小さな記憶」と向き合っていきたい。

神時間力 時間を使いこなせば人生は思い通り/星渉

・人生とは時間の投資である。24時間という限られた時間を何かに投資している。

・人生から得たい結果を決めろ。そうすれば、時間の使い方が明確になる。

・【人生の公式】

 得られる結果(ゴール)=投資した時間 × 行動レベル

・趣味や娯楽に時間を使うことで幸せだと感じるのなら、それはとてもいい時間の使い方。人生で得たい結果なんて、人によって違って当然。自分の人生の時間を投資して、幸せになることが重要。

・死ぬ時に後悔しない人生を。神時間力とは、真剣に命の残り時間を考える力である。

 

この本を読んで、具体的に行動におこしたこと。

1 人生でやってみたいこと100のリストを作成する。

 庭に木を植える。ラジオに投稿メールを送る。富士山に登る。マツダスタジアムカープ戦を見る。空気階段のライブに行く。ブログを始める。琉球史を勉強する。

 

2 なりたい自分を書き出してみる。自分が何に幸せを感じるのか。

 身近な人、顔の見える関係の人の役に立ちたい。自分の知識やスキルが誰かのためになることがうれしい。

 家族と楽しい時間を過ごす。旅行やイベントなど。

 妻と良い関係を築く。話し合って、何度でもやり直す。

 読書等を通じて新たな知識を得る。興味のあることを増やす。

 余白のある人生。仕事だけではなく、趣味や家族、友人との時間を大切にする。余白こそ創造性ややる気を生む。

 健康でいること。楽しい時間は心身の健康があってこそ。

 子どもたちに家庭での楽しい思い出をたくさん作る。

 家や家族が居心地の良い場所になるように努力する。