傲慢と善良/辻村深月

朝井リョウさんの解説にある下記表現がこの小説を端的に表している。

『何か・誰かを選ぶとき、私たちの身に起きていることを極限まで解像度を高めて描写することを主題としている』

 

結婚相談所の小野里さんの言葉が胸を抉る。

・一人一人が自分の価値観に重きを置きすぎていて、皆さん傲慢です

・ピンとこない、の正体は、その人が、自分につけている値段です

・その人が、無意識に自分はいくら、何点とつけた点数に見合う相手が来なければ、人は「ピンとこない」と言います。私の価値はこんなに低くない。もっと高い相手でなければ、私の値段とは釣り合わない。

・ささやかな幸せを望むだけ、と言いながら、皆さん、ご自分につけていらっしゃる値段は相当お高いですよ。ピンとくる、こないの感覚は、相手を鏡のようにして見る、皆さんご自身の自己評価額なんです